潰れた檸檬

自傷しなくても傷だらけ

LIVING

2018年2月現在、高校三年生の妹がいる。受験生だ。でも本来の受験生とは異なる。何故なら、去年末の段階でAO入試である大学は合格しているからだ。しかし本命のAOは落ちたため一般でリベンジする。

 

妹はAO入試で受験すると決めていた。何故なら二浪した兄こと冒女を見てもう一般入試は嫌だと思ったそうだ。済まないねえ。こんな兄貴で。でも君がそうやってサクサク決めてた時期自分は自我とプライドの問題にぶつかりすぎていて受験どころじゃなくなったんだ。まあこんなのただの言い訳にしか過ぎないけど...

 

妹はこの頃リビングで勉強するようになった。合格するためならそれが良いのだろう。しかし自分からしたら迷惑にしか思えなかった。何故ならリビングは家族の間に設けられた数少ない共用スペースだからである。飯を食うにもテレビを見るにもそこを利用すると不機嫌そうな顔をする。でも他者からしたら「受験生なんだからお前が気遣えよ」という意見だろう。

 

ここではっきりと分かった。自分は妹が本当に嫌いなのだ。嫌いだからいくら妹が切羽詰まった状況でも支援する気が起きないのだ。

 

妹も同じことを思っている。ことある毎に自分を皮肉った発言をする。「お兄ちゃんの彼女さん(冒女となんかと付き合うなんて)可哀想〜」「(中高一貫行って二浪してしかも一度大学中退して)家の金使いまくったくせに」「お兄ちゃん私の高校の偏差値より低いところ行ってるんだから黙ってよ」

 

自分も人のこころは多少ある。妹は本当に惨めだと思った。妹は小学校からの内部進学とは言えども偏差値75の超進学校に通っている。一方兄は二浪私文両親は中途半端な私大という状況だった。毎回家に帰ると「東大行ってる〇〇ちゃんのお兄ちゃんは~」のような話をする。妹に同情する理由は確実に存在している。

 

それでも妹がリビングで勉強している姿を見て応援する気にならなかった。ああこの家族終わってんな。みんな自分勝手すぎるんだ。表面上の配慮はできても本音は言わないんだ。その人に本音を言わないで他の人に話してストレス解消しているんだ。本当に終わってる。リビングが教えてくれた。

 

個人の観点から見れば、全てのことに理由はある。自分はほとんど説明できる。つまり、この環境で生きていれば自然とそうなる。長男だからだろうか。妹は多少なりとも家族の影響を受けざるを得ないのだろうか。妹は自分がいない場合どのような人生を歩んでいたのだろうか。妹は本当に生きているのだろうか。仮にも自分の存在が妹に影響さえ与えなければ妹はもっと生きやすかったかもしれない。金だってもっとあった。そう思うと、人は自然に生きているだけで害を与えてしまう存在なんだと思った。普通に同じ親の元を生きているだけで相互に害を与える。たまたまセックスした人が同じという理由だけで人生が不利になる。リビングというものをリビングが教えてくれたのだ。