潰れた檸檬

自傷しなくても傷だらけ

キル

関係が5年続いた同期を半年前に切った。  

 

まずこういう書き方をしている時点で自分は彼にそこまで思い入れがない。よく巷では「同じ釜の飯を食った仲間」だの「苦しい時に一緒に過ごした仲間」だの聞く。彼とは中高も予備校も地元も一緒だった。あと中学の時のアメリカのホームステイ先でも多くを一緒に過ごした。それぐらいの関わりがあるのに結局最後は「話が面白くないから」という理由で関係を切ってしまった。だから人間関係なんて自分がその人に興味があるかどうかで決まる。自分は少なくともそう信じている。

 

彼はリアルに価値を置いている人間であった。だからこそ数でマウントを取り経験で殴り聞いたことで城を立てるような奴だった。そんな彼の話はもちろん正論だし少なくとも自分よりは社会性や正当性を兼ね揃えていた。だが圧倒的につまらないのだ。話がいつもどこかで聞いたような言葉だらけだった。そんな奴とよく5年も続いたなと思う。このように「明らかに合わない人材ともダラダラと関係を続ける」というのもスクールマジックの一つだと思う。

 

彼を切った時の状況について説明しよう。浪人生活が本当に終わり今年の四月に久々に会った時にマウンティングと説教とヘイトをくらったので半年前に切ることにした。ためにはなるけど話がつまらない。自分の意見なのだろうけど社会から引っ張り出してきたようなことしか言わないから飽きた。だからLINEもTwitterもブロックしたのだけど唯一ブロックし忘れた彼の別垢からDMが飛んできた。「ブロックしただろ」って。そこから泥沼があったが最終的に「俺は君がなぜそんなに自信があるのかわからない。」と言われた。こいつ、自分がナルシストであることも理解していたんだなって。少し後悔したが結局切った。

 

そして今気づいた。彼そのものの存在がリアルであったと。

 

彼の口から出てくるものほとんどがリアルだった。そして自分は彼との関わりの時になんとか彼の文化に乗ろうとギリギリを生きてきた。せっかくこっちがギリギリで生きているにも関わらず頭ごなしに否定してきた。彼との帰りはいつも一人反省会状態だった。ようやく半年前に自分の周りにそういう関係性があることに対してのメリットが少ないことをようやく感じた。そしてとうとう切ってしまった。彼の存在こそTwitterに生きる自分の中の最後のリアルであった。だから自分の中のリアルは死んだも同然だった。自分は自分の中のリアルを殺した。リアルを殺して逃げた、というより逃げ切った─────

 

ここ最近彼との思い出を振り返ることはなかった。忘れることすらある。だからこうやって書いておけばお墓参りみたいでいいかなって。骨としてはまだ自分の中で生きている節もなくはないし。あと魂みたいなのもぶっ込めばまた復活するかもしれないしね。リアルは殺してもまた復活すると思うよ。今のところ、憑依という形でまたリアルが襲ってくる。いつだろうか。うーん。何か大きな決断を迫られる時だろうか。となると近頃だとゼミを選ぶ時とかかな。