潰れた檸檬

自傷しなくても傷だらけ

「おもしろいはなし」3

 ティッシュを配っていた時だった。

 

 ティッシュは基本的には1人1つの原則がある。だからくれと言われても「おひとり様ひとつですので...」と返答する。(どうしてももう1つ欲しかったら駅の反対側の出口など貰った場所近辺を捜して違う人から貰おう!大抵別のスタッフがいるから!)だが例外がある。それは「明らかにヤバい奴」だ。これに関しては後々ダルいので渡して良いし、実際に自分が新人に教える時はそう教えている。

 

 今日もそういう人がいた。必ず数人はいるのだが、ほとんどがまともそうだったので上記のように返した。

 

 そして、遂に来た。来たのはみすぼらしい中年サラリーマンだった。スーツなのにたるんだお腹。デカい胴体。そこそこ髪がある白髪。しゃくれた顎。よく分からない眼鏡と顔。ともかく強烈的な個性の塊だった。だから「もう1つちょうだい」って言われた時「怒らせたら面白いんじゃないか」と勘繰った。そして断ったら案の定怒り始めた。

 

「★♥♦●♬☾❀✰®¿¨✄♯✲...」とか訳の分からないことをぶつぶつ言って歩きながら結局ポストの上に貰ったティッシュをポイッと投げて置き去りにした。

 

 吹いてしまった。

 

 良い歳して、たかがティッシュもう1つ貰えなかった如きでブチ切れて、ポストの上に投げて結局手元のティッシュを0にするのがあまりにもバカバカしい。相当不機嫌だったのだろう。僕が渡したティッシュがそれを想起させるかのように。あまりに矛盾というか滑稽過ぎて、業務に集中できないぐらい笑ってしまった。

 

 そして結局今日もまた分かりにくい記事を書いてしまった。